治療と仕事の両立に関する企業を対象としたアンケート調査(治療と職業生活の両立等支援対策事業H25)によれば、病気を理由に1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は年々高まっており、今後も病気のリスクを抱える労働者は増えていくことが見込まれています。さらに、今後は労働力の高齢化が進むことが予測され、事業場においては、病気を抱えた労働者が治療を受けながら仕事を両立できる環境整備の必要性が高まることは必至です。
当院脳神経内科では、神経難病の治療や脳卒中後遺症を抱えながら就労されている方を対象とし、2020年8月より 「両立支援外来」を開設しております。両立支援医療は当初がん患者様を対象に開始されましたが、2020年度より新たに指定難病や脳卒中、肝疾患が本医療の対象として追加されました。本外来ではソーシャルワーカーと連携協力のうえ、産業医資格を有した神経内科専門医、リハビリテーション専門医、社会医学系専門医といった労働衛生に精通した医師が担当し、患者様の状況に合わせて、事業場における産業医と直接的に意見書の交換を行います。本外来は一回で終わらない場合が多く、職場環境やご本人の状況変化に応じて継続的に支援していきます。本外来を通じ、心身の状態に合わせた適切な働き方と適切な業務内容を設定し、最良の案を事業場に提案致します。
社会における両立支援のニーズは確実に高まってきています。このような社会的問題に対し少しでもお役に立てますと幸いです。神経難病、脳卒中後遺症を抱えながら、就労についてお悩みの方がおられましたら遠慮なくご相談ください。